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海洋土木事業者の作業船への投資意欲については、海洋土木工事の先行きの不透明性があり、一般的には消極的であるとみられる。しかし、近年、低金利や公共工事の安定的規模での推移を背景として、工事受注戦略としての大型起重機船の保有や中小事業者の作業船保有意欲の高まりが、主として海洋土木事業者からのヒアリング調査で得ることができた。
公共工事発注者である国(北海道開発局)あるいは、北海道からのヒアリング及び海洋土木事業者からのヒアリングでは、北海道の作業船需要の中心となる作業船種類は今後も起重機船等のいわゆる「吊りもの」が重要な位置を占めるであろうという見解を得ることができた。
道内のグラブ浚渫兼起重機船、グラブ浚渫兼クレーン付台船、起重機船、クレーン付台船の吊り能力(巻き上げ能力)別隻数を道内外建造別にみると、吊り能力が149トン以下の比較的小さな起重機船に関しては道内建造は約4割程度を維持しているが、吊り能力が150トン以上のものになるとほとんどが道外建造分として道外の造船所へ流出していることが分かる。海洋土木工事発注者及び海洋土木事業者からのヒアリングでは、今後の起重機船は、これまでに比べ大型化の方向を辿ることか予想されており、現状のままでは起重機船の建造に関しては道内シェアが凌駕されてしまう可能性が強いことが指摘できる。
本調査では、今後の作業船の新規需要という観点から作業船のうち、現在、主に瀬戸内地域で建造されている起重機船をターゲットとして考えており、以下、起重機船を中心に議論を進める。

起重機船の吊り能力(巻き上げ能力)と道内外建造隻数

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